不倫の慰謝料請求

不倫の慰謝料請求事件の手続としては、示談交渉と訴訟があります（厳密には、これ以外の手続もあります）。

不倫の慰謝料請求事件について、示談交渉を行うことができます。示談交渉をせずに、いきなり訴訟を行うことも可能です。

不倫の慰謝料請求事件について、訴訟をすることもできます。

不倫をした配偶者と、不倫相手は、共同不法行為を行ったものとして、その損害賠償責任については、不真正連帯債務の関係に立つと解されています。

不真正連帯債務の説明をする前に、連帯債務の説明をします。

連帯債務とは、複数の債務者が、同一内容の債務について、それぞれ連帯して全額の返済義務を負う種類の債務になります。

連帯債務には、真正連帯債務と不真正連帯債務があります。

不真正連帯債務とは、連帯債務のうち、弁済等の事由を除き、１人の債務者に生じた事由がその他の債務者に影響を及ぼさない種類の債務をいいます。

つまり、不倫をした配偶者と、不倫相手は、慰謝料の支払義務について、それぞれ全額の支払義務を負います。不倫をされた側は、不倫をした配偶者と不倫相手のどちらに対しても、全額の支払を請求することができます。片方が全額の弁済をすれば、もう片方の支払義務はなくなります。

不倫をした配偶者と、不倫相手は、このような関係に立ちますので、一方が弁済した後に、不倫をされた側が他方に対しても請求する場合、一方がすでに弁済した金額を考慮して他方の賠償責任が判断される可能性があります。場合によっては、もう十分な金額が賠償されているとして、請求が棄却されることもありうると思います。