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こちらのページでは弁護士業務と利益相反について、栃木県宇都宮市海道町の弁護士藤原泰朗が説明しています。
弁護士は、依頼者や相談者と利害が対立する事件について、依頼を受けたり法律相談に応じたりすることはできません。いわゆる利益相反の問題がある事件については、職務を行えないという規制があります。
具体的には、弁護士職務基本規程の第27条、第28条等に定めがあります。
弁護士職務基本規程とは、弁護士の職務の行動指針または努力目標について定めた弁護士会内における内部規則といえます。
なお、弁護士職務基本規程の第27条については、弁護士法第25条にも同様の規定があります。
弁護士職務基本規程の第27条・第28条の趣旨は、1当事者の利益保護、2弁護士の職務執行の公正の確保、3弁護士の品位の保持にある、とされています。
具体的には、例えば、すでに依頼を受けた事件、あるいはすでに法律相談を受けた事件について、依頼者や相談者の相手方からの依頼を受けたり法律相談を受けたりすることはできません。(弁護士職務基本規程第27条1号・2号)
(ただし、すでに行った協議の程度・方法が信頼関係に基づくと認められる場合という要件はあります。これは、弁護士の数が少ない地方において、自己の依頼する弁護士以外の弁護士にも一応の相談をすることで、相手方に代理人がつくのを封じ込めるという悪質な手段をとることを認めないようにするための要件であると言われています。)
弁護士は、基本的に、対立する両当事者のうちの一方の味方にしかなることはできず、両方の味方になってしまうと、当事者の利益が害されかねず、弁護士の仕事の公正さが失われてしまう、というわけです。
ここでいう「相手方」とは、実質的に利害の対立する状態にある当事者をいい、利害対立が潜在的な段階にとどまっている場合は、ここでの「相手方」には当たらない、とされています。
また、弁護士職務基本規程第27条1号の「賛助」とは、具体的に法的助言をすることを意味するといえます。
例えば、妻から離婚の法律相談を受け、具体的に法的助言を行っていた場合、その夫からの離婚調停申立事件の依頼を受けることはできません。
また、すでに受任している事件の相手方から、その事件とは別の事件について、依頼を受けたり法律相談を受けたりすることもできません。ただし、このケースについては、すでに受任している事件の依頼者が同意した場合には、例外的に許されることになります。(弁護士職務基本規程第27条3号)
ここでいう受任している事件とは、現に受任している事件をいい、過去に受任しすでに終了している事件は含まないものと解釈されています。
また、弁護士が自分の配偶者や一定の関係にある親族を相手方として、事件の依頼を受けたり法律相談を受けたりすることもできません。ただし、このケースについては、依頼者の同意があれば、例外的に許されることになります。(弁護士職務基本規程第28条1号)
このような特別の関係にある者を相手方とする事件については、弁護士が職務執行について手心を加えて当事者の利益が害されるおそれがあり、弁護士の仕事の公正さが失われてしまうので、かかる規制が設けられているといえます。
また、受任している別の事件の依頼者を相手方として事件の依頼を受けたり法律相談を受けたりすることもできません。顧問先を相手方として事件の依頼を受けたり法律相談を受けたりすることもできません。ただし、このケースについては、依頼者及び相手方(別の事件の依頼者・顧問先)の同意があれば、例外的に許されることになります。(弁護士職務基本規程第28条2号)
また、依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件についても、事件の依頼を受けたり法律相談を受けたりすることはできません。ただし、このケースについては、依頼者及び他の依頼者の同意があれば、例外的に許されることになります。(弁護士職務基本規程第28号3号)
弁護士が依頼者相互間に利害が対立する事件を受任すると、一方の依頼者の利益のみを擁護して、他方の依頼者の利益を害するおそれがあり、弁護士の仕事の公正さが失われてしまうため、職務を行えない事件として規律がなされています。
例えば、遺産分割事件において、弁護士が複数の相続人の代理人となることは、相続人間において遺産の分配をめぐって利害が対立する可能性があるわけですから、形式的には本号違反が問題となりえます。しかし、利害対立が潜在的な段階にとどまり顕在化していない場合には、複数の相続人の代理人となっても、本号に違反しないと解釈されています。
また、貸金債務の主債務者と連帯保証人は、求償関係(各自の負担割合に基づく支払の分担)が問題となりえますので、債権者からの履行を請求された事件について、弁護士が主債務者と連帯保証人の両者の代理人となることは、形式的には本号違反が問題となりえます。もっとも、両者が協力して債務の消滅時効を主張する場合など、利害対立が潜在的な段階にとどまり顕在化していない場合には、主債務者と連帯保証人の両者の代理人となっても、やはり本号に違反しないものと解されています。
また、依頼者相互間の潜在的な段階にあった利害対立が、途中で顕在化した場合は、弁護士は、辞任その他事案に応じた適切な措置を採らなければいけません。(弁護士職務基本規程第42条)
なお、上記2つのケースについて、弁護士職務基本規程第28条3号の問題ではなく、同第27条1号の問題となるとする見解もあります。いずれの問題に該当するかで、同意により禁止が解除されるか否かが変わってきます。
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