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養育費算定表の改定について

養育費算定表のイメージ画像

こちらのページでは養育費算定表の改定について、栃木県宇都宮市海道町の弁護士藤原泰朗が説明しています。

概要

2019年12月に養育費算定表の改定が公表されました。

基本的な考え方は、従前のものが踏襲され、計算の元となる数値が更新されました。

また、民法の改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたこと(2018年6月改正法成立、2022年4月1日より施行)の養育費の終期に対する影響についての見解も公表されました。

基本的に成人年齢の引き下げは養育費の終期に影響しないものと考えられています。

また、養育費算定表の改定が、すでに定められていた養育費の額を変更すべき客観的事情の変更に該当するか、という点についても見解が公表されました。

今回の養育費算定表の改定は、養育費の額を変更すべき事情変更には該当しないと考えられています。

 

養育費算定表とは

2019年12月に養育費算定表の改定が公表されました。

養育費算定表とは、裁判官等により構成される研究チームが作成した、養育費の金額を算定する基準となる表であるといえます。

養育費算定表は、裁判実務上、一般的に採用されている基準です。

 
 

養育費算定表の作成・改定の経過

養育費算定表の作成前の時代は、事案ごとの個別具体的な事情に応じて養育費の金額が算定されていました。

しかし、そのようなやり方では、簡易迅速に養育費を算定することが困難でした。そこで、統計等に基づく情報を活用した養育費算定表が作成され、簡易迅速に養育費を算定することが可能になりました。養育費算定表により、基本的に、元夫婦の収入、子どもの数、子どもの年齢に関する情報があれば、養育費が算定できるようになりました。

養育費算定表は2003年に発表されたものであり、作成時から年数が経過したことから、計算の元となる情報を更新すべく、改定されることとなり、2019年12月に改定された養育費算定表が公表されました。

改定後の養育費の金額は、改定前と比べて、増加傾向となったと言われています。

 

計算方法に関する基本的な考え方

改定された養育費算定表の計算方法に関する基本的な考え方は、改定前の養育費算定表と同様です。

養育費算定表の計算方法に関する基本的な考え方は、子が高収入である義務者と同居していると仮定し、生活費指数を用いて子に振り分けられるべき生活費の額を算出した上で、権利者と義務者に基礎収入の割合に従ってその負担を求めるというものです。

生活費指数とは、生活保護基準や統計上の学校教育費等を元にして、親を100とした場合の子に充てられるべき生活費の割合を算出したものです。

基礎収入とは、総収入から、養育費に振り分けるべきでない一定の費用を控除したものです。給与所得者の場合、総収入から、公租公課、職業費、特別経費を控除したものになります。

公租公課については、税法等で理論的に算出された標準的な割合が用いられて計算されます。

職業費とは、給与所得者として就労するために必要となる経費です。衣服費、通信費、交通費、交際費等の経費です。

特別経費とは、具体的には、住居関係費や保健医療に関する費用及び保険掛金であると考えられています。

職業費及び特別経費については、統計資料に基づき推計された標準的な割合が用いられて計算されます。

計算方法としては,まず、権利者及び義務者の基礎収入を認定し、次に、子の生活費を認定し、次に、子の生活費を権利者及び義務者の基礎収入の割合で按分し、義務者が分担すべき養育費の金額を算定する、という計算方法で計算がなされます。

給与所得者の総収入は、源泉徴収票の「支払金額」により認定されることが多いです。給与明細により認定しようとすると、残業手当等による変動や、賞与等の金額が含まれないことになるので注意が必要です。

自営業者の総収入は、確定申告書の「課税される所得金額」に基づいて認定されるのが一般的です。さらに、改定された養育費算定表を発表した裁判官により構成される研究チームの見解では、「課税される所得金額」に税法上控除されているものの現実には支出されていない費用を加算して認定されるべきであるとされています。

当該加算する費用としては、「雑損控除」「寡婦、寡夫控除」「勤労学生、障害者控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「基礎控除」「青色申告特別控除額」になります。現実に支払がされていない場合には「専従者給与額の合計額」も加算することになります。「医療費控除」「生命保険料控除」「損害保険料控除」についても、標準的な額については特別経費としてすでに考慮されていることから加算することになります。「小規模企業共済等掛金控除」「寄付金控除」も性質上、養育費に優先されるものでないため、加算するのが相当と考えられています。

自営業者の基礎収入は、総収入から所得税、住民税、復興等特別税及び特別経費を控除した金額とされています。社会保険料及び職業費が控除されていないのは、「課税される所得金額」においては、すでに給与所得者の職業費に相当する費用及び社会保険料が控除されているからです。

計算の元となる数値の変動

養育費算定表の改定による計算の元となる数値の変動について説明します。

給与所得者の場合、公租公課は、従前、総収入の12~31%とされていたのが、改定により、8~35%とされることとなりました。

職業費は、従前、総収入の20~19%とされていたのが、改定により、18~13%とされることとなりました。

特別経費は、従前、総収入の26~16%とされていたのが、改定により、20~14%とされることとなりました。

よって、給与所得者の場合、基礎収入率は、従前、総収入の42~34%とされていたのが、改定により、54~38%とされることとなりました。

自営業者の場合、基礎収入率は、従前、総収入の52~47%とされていたのが、改定により、61~48%とされることとなりました。

子の生活費指数は、従前、0~14歳までは55、15~19歳までは90とされていたのが、改定により、0~14歳までは62、15歳以上については85とされることとなりました。

義務者が低所得の場合

養育費の支払義務を負う義務者が低所得の場合であっても支払義務を免れないか問題となることがありますが、基本的には養育費の分担義務は免れないものと考えられています。

親が未成熟子に対して負う扶養義務は生活保持義務と呼ばれ、「最後に残された一片の肉までを分け与ふべき義務である」などと表現されます。

もっとも、裁判所が個別具体的な事案に即して判断をすることは当然に許されるところです。

成人年齢の引き下げの影響について

また、改定された養育費算定表の公表にあわせて、民法の改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことの養育費の終期に対する影響についての見解も公表されました。(2018年6月改正法成立、2022年4月1日より施行)

成人年齢が引き下げられる前は、養育費の支払の終期は、20歳まで、あるいは、成人するまで、と定められることが多いところでした。

民法改正により成人年齢が引き下げられたことにより、養育費の終期が変動するのか否かという問題が考えられます。

この点については、裁判官により構成される研究チームが発表した見解によると、成人年齢が18歳になっても、そのことは養育費の終期に影響せず、終期は従前どおり、20歳まで、あるいは、未成熟子を脱する時期と個別に判断された時期まで、とされるのが基本的な結論になります。

算定表の改定が事情変更に該当するかについて

また、養育費算定表の改定に伴い、養育費算定表が改定されたということが、すでに定められていた養育費の額を変更すべき客観的事情の変更に該当するか、という点も問題になります。

この点については、裁判官により構成される研究チームは、養育費の額を変更すべき事情変更には該当しないと考えています。

 

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